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新世紀エヴァンゲリオンの二次創作物、小説「Ihr Identität」を掲載するサイトです。初めての方は「このサイトについて」をご参照下さい。小説をご覧になりたい方はカテゴリーからEpisode#を選んで下さい。この物語はフィクションであり登場する人名、地名、団体名等は特に断りが無い限り全て架空のものです。尚、本ホームページに使用した「新世紀エヴァンゲリオン」の画像は(株)ガイナックスのガイドラインに沿って掲載しています。配布や転載は禁止されています。
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衣食(いしょく)足りて礼節を知る、という言葉を聞いたことがありませんか?たまに「礼節じゃなくて栄辱だろ常考」という人もいますがどちらも広辞苑(あるいは大辞泉)に記載がありますからどっちでもいいような気がしますが、ともかく意味は「人は、物質的に不自由がなくなって、初めて礼儀に心を向ける余裕が出来る」という意味になります。

司馬遷(B.C.145?~B.C.86?)が完成させた「史記(故横山光輝先生の同タイトルの漫画もありますw)」にも出てきますが中国の春秋戦国時代(B.C.770~B.C.221)の斉の国の宰相、管仲(かんちゅう)の言葉とされています。参考までに原文を引くと…

「倉りん(*)実ちて即ち礼節を知り、衣食足りて即ち栄辱を知る」 菅子、牧民より

になります。(* りんは凛の右側にまだれ)

因みに「倉りん」は穀物で満ちた蔵、あるいはそれが変じて「給料」「俸禄」という意味になりますから生活の基盤を築く、という意味に近いと思いますので「生活の基盤=住」と考えていいのではないでしょうか。後の「衣食」とあわせて「衣食住」の充実が「礼節と栄辱=国家の規範」になる、と説いているわけですね。日本国憲法第25条(生存権)で言うところの「文化的な最低限度の生活」にニュアンスが近いと思いますが。

現代でも社会生活を営む上で「衣食住」の充実は不可欠です。前置きが長くなりましたが今日はちょっと「住宅事情」について少しお話したいと思います。
(マンションに住んでる俺は勝ち組♪ ひゃっほう!)

これはとても有名な話ですが英語の mansion には「大豪邸」「高級住宅」という意味があって日本で言うところの「分譲マンション」「鉄筋コンクリート住居」「ワンルーム」のようなニュアンスを含んでいません。勿論、セレブに見えない一般人が英語で「マンションに住んでいる」と言っても「マジかよ!!」みたいな反応にはなりませんけどまあ…和製英語的な用法である、ということくらいは知っておいていいのではないでしょうか。

日本で住宅を示す言葉は概ね欧米(アメリカと欧州はほぼ同じ)では以下のように対応します。

住居区分  
( )内英語
日本 ドイツ
アパート
(Apartment)
二階建ての木造の集合住宅 いわゆる「アパルトメント」
一般的な庶民の集合住宅
木造建築はかなり珍しい
(基本的にレンガ)
コーポ
(Corporace)
某レオパ○スのイメージ
モルタル(激薄壁)の集合住宅
該当する建物はない
マンション
(Mansion)
鉄筋コンクリート製の集合住宅
(分譲/ワンルーム等)
大豪邸、高級住宅


こうしてみると随分違うことに軽く驚かされますな…対応表が頭の中にあれば別にどっちがどっちでも「細けえこたあいいんだよ!」ですね。因みに宅地が余りまくっている欧米では「一軒屋(借家)」も「集合住宅」も後述しますがほとんど賃貸相場が変わりません。そして中産階級者はあるていどお金が溜まると「集合住宅→借家」、「都市部→郊外(田舎)」という思考回路を一般的にしていることも特徴です。

そのためなまじっか使える英語で「街中の集合住宅に住んでいる」と過度に強調しまくると「低所得者向け集合住宅(House Project)」に住んでいるかのような印象を与えるかも、なので普通に「アパートメント」が無難だと思います。因みに「Apartment」は米語で、欧州人は英国式の「flat (数室あるアパート)」を結構使っています。これマメな。



(何かと人間関係が重要になるアパートメント)

さて、日本の賃貸マンションやコーポなどでは特に問題でもない限り、いわゆる「管理会社」「仲介業者(不動産屋)」「大家(オーナー)」と連絡を取り合うこともなければ、下手をすれば入居と退去以外で顔を合わすことすらなかったりします。

この辺の事情はドイツではかなり違っていて、まず日本の物件のように「完璧な状態」で引き渡されることは期待できません。何と言っても「かつてモーツァルトの親戚が住んでいた部屋」なんて物件も普通に賃貸で出されるほど、ほとんど「遺跡」と言ってもいいような築年数の賃貸アパートメント物件がゴロゴロしてます。日本の築30年、40年が可愛く見えるっていうか、欧州人の感覚からすると「結構新しいんだね」になるから不思議です。木造建築が多い日本ではきっとこいつ等はいいカモになるんだろうなあww そんな「重文級物件」ですから何かがおかしくないことの方が異常です。

あらゆる意味で「借主」と「大家(House master)」との関係は自然に濃密なものになって行きます。



(物件探し → 不動産屋じゃないの?)

日本ではほぼ間違いなく物件探しの第一歩として不動産屋に足を運びますが、ドイツではこの辺の感覚がかなり違います。不動産屋さんは洋の別なく「仲介業」ですから、「借主」と「大家(物件を預けている人」の双方から「仲介料(紹介料、手数料)」を取ります。日本人の感覚からすると「当然」なのですが、ドイツ人は「借主」も「大家」も「高けーよ!ばーか!誰が余分に払うかよ!」という感覚をほぼ万人がしているので、個人間での契約が一般的です。

そもそも大家自身が地域の新聞やフリーペーパー、webサイトの類に物件情報を載せるので、借主側もまず物件探しは「新聞」「ポータルサイト」などを利用して探すのが常識です。従って、不動産屋を利用するのは「最後の手段」か、どうしても借りたい物件があるのに大家側が高齢等の理由により「不動産屋経由のみ」にしているか、どちらかということになります。

因みに日本の手数料相場は昨今ではかなり値崩れが進みつつありますが「家賃1か月分(礼金)」前後ですけど、ドイツでは「deposite」と呼ばれる敷金(だいたい2か月分)の数十%に相当する額を契約時に無条件に払わなければいけません。業者にもよりますが日本の礼金システムと比べるとだいたい割高なイメージです。

まあ…ドイツの不動産業が賃貸仲介よりも土地売買(分譲)で儲けることに軸足を乗せている、ということにも影響があるかもしれませんけどね。



(アジア人に対する風当たりを実感する瞬間)

こう書くと奇妙な団体からクレームが付きそうですが現実に目を向けなければいけません。ハッキリ言いますが「差別」は絶対になくなりません。お花畑脳全開にして「人類平等」を叫ぶのは自由ですが、日本のルールや思考を外国で発揮したところで相手にされなければ全て話はその時点で終わりです。日本の「温室」で育った人たちは欧米のホワイト社会のこの「洗礼」を受けて傷つく人が少なくありませんが、「差別」は受けて当然のものなのだ、という強い心が海外生活では重要になります。これまでのところ管理人はかなり露骨な形で差別を受けたことがないのですがそれは単に「ラッキーなだけだ」と思うようにしています。知り合いに中国人が何人かいました(去年の金融危機で彼らは残らず解雇された)が彼らの話を聞くとかなり不快な目に遭っていました。特にドイツでは中国人に対する風当たりが非常に強く、北から南にいくほどその傾向は強くなります。おせっかいな話ですが欧州ではウィグル人とチベット人に対して結構同情的です。その影響だけでは勿論ありませんが、「中国人」と聞いただけで門前払いを喰らうことも決して少なくは無いんですね。中国人も日本人も見た目で区別が付かないので何も言わなければ取り付く島もなかったりしますが、日本人と分かると態度が急変することも実際にあります。比較的日本人はアジア人の中でもその点で優遇されているのは間違いありませんがそれでも理不尽なことはゼロではない、ということを肝に銘じておくべきでしょう。

管理人はその前提に立っていたので最初から物件探しの時のファーストコンタクト(大抵の場合、直接大家にコンタクト)は現地人(絶対にホワイト)に頼んで仲介者になってもらっていますし、契約に際しては必ず上司に頼んでレター(身元を保証する紹介状)」を書いてもらって大家に見せています。これは非常にトラブルも少なくて禍根を残さないのでお勧めの方法になります。

なんだかめんどくさいですけど…相手が差別主義者とか狭量とかそんなレベルの話ではありません。基本的に自分の家を貸すのですから「外国人(特にアジア人という異教徒)」に対する原始的な抵抗感があるのは当たり前じゃないでしょうかね。「差別」とは所詮はきれいごとを並べたところでそんな人類の本能的な恐怖に根ざしていると思うのでそもそも「なくそう!差別!」という発想自体が子供じみているのではないかとも思います。

この物語で管理人がアスカが「日系人」である、という設定を使ってEp#08で差別を受ける描写をしています。これは公開に際して正直なところ「割愛すべきか」悩んだのですがそのままにしました。現実とは少し違いますが管理人が肌身で感じる欧州の空気を伝えたかった、という側面はゼロでは無いです。



(家賃システム)

ドイツ某所近影日本の家賃システムは「家賃」+「共益費」+「駐車場代(オプション)」というのが一般的だと思いますが、ドイツの場合、「家賃」+「共益費」+「光熱費」というイメージになります。都市のど真ん中でも(場所に依存しますが)だいたいアパートメントの近くにタダで路駐出来るので、駐車場代を取る、となると「高級車をガレージに入れる」みたいなニュアンスが発生します。この辺も少し感覚が日本と違いますね。

日本の場合、「電気」「ガス」「水道(下水)」というライフラインはそれぞれ月単位で確定した料金を支払いますがドイツでは予め月々定額をまず支払って年末に清算、という形になります。大家との契約内容に依存しますが、管理人が今まで結んだ契約では「電気、ガス」は「公益会社」に、「水道(下水)」は「大家」というパターンでした。あと、ドイツでは「ガス」は色々面倒くさいこともあって倦厭する向きにあるので調理器の類は電気調理気が非常に多いです。「水道代(下水)」は大家と立会いの下で年末年始にメーターをチェックするのが風物詩になっています。清算は…

(定額の xx EUR × 12ヶ月) - (実使用量 × 単価)

という形で払い込んだお金に対して不足分は支払い、超過分は翌年繰越か大家や企業からの返金があります。まあ、大抵の場合は経験則で丁度いい払い込みになるようになっているので大金が行き来するということは滅多にありませんが。

イメージとしては全て込みこみで500 EUR / 月 だったとして、契約内容や地域にも寄りますけど2/3が還って来ない「家賃」、1/3が還ってくる可能性のある「共益費(水道代込みが主流)」「光熱費」の部分、ということになります。ただ、ドイツにおける「共益費の負担」は日本と考え方が違うので注意が必要になります。以下に紹介しましょう。



(固定資産全とか俺も払うのかよ!?)

これはドイツ移住当時は本当に茶を噴くほど驚いたのですが住んでいる物件の「固定資産税」は借主もシェアするが一般的です。日本では大家が負担するので普通は目には見えないコストになっています(それを当て込んで家賃は設定されているわけですが)。ドイツの固定資産税は居住可能な面積に対して発生するため、例えば…

(100m2 × 4部屋) + (80m2 × 2部屋) = 560m2のアパートメントの固定資産税に対して、

100m2 × 1部屋を借りている場合: (固定資産税) × 100m2 / 560m2
 
の負担が発生します。


また、裏庭や植林のメンテナンスコスト、建物全体の修繕コストなども全てこの調子で負担していきますからノスタルジックな物件ほど結構よけいな経費がかかるため、年末に過不足分を清算したときに不意の出費が発生して揉める!なんてことも少なくありません。

契約社会なので全て中身に依存しますが、北国ドイツ(すべての国土が日本より北にある)ならではの共益費の出費も多いです。アパートメント前の道路の除雪費用、暖炉を設置している場合の煙突掃除費用などがそれにあたります。あと一般的なものとして共有スペースの掃除コスト、ゴミだしエリア清掃費などが含まれまれる場合もありますが、住人同士で当番制になっている物件もあります。当番制を敷いている物件の共益費は当然相場より低く設定されていますが、中にはサボるヤツも当然に出てくるので住人同士で揉め合う事もあります。時々がめつい住人もいて「共有スペースの掃除を一手に引き受ける代わりに代金を寄越せ」という古株もいたりして面倒くさいことがあります(こういう人間は大抵の場合、掃除をしないで金だけ徴収する)。

そう考えると日本の家賃システムと言うのは何てスムーズなんでしょうねぇ…共益費関係などでもめたなんて話もあんまり聞きませんしね。争いや交渉ごとを倦厭する傾向の強い日本人にとって海外の賃貸はまさに戦場、ストレスの巣窟かもしれません。



(家賃相場とか)

まず「住む地域」によって家賃相場が変わるのは当然ですが、以前、東京に住んでいた管理人からするとビックリするくらいドイツの家賃は「安い」ですね。

【例1】 ワンルーム(15m2) / 東西線沿線 / 65000JPY
【例2】 2DK(35m2) / 半蔵門線沿線 / 88000JPY
【例3】 65m2 ベルリン某所 / 600EUR (66000~68000JPY)*
【例4】 53m2 ベルリン某所 / 495EUR (53500~ 57500JPY)*  
                                *1EUR=110~120JPY弱

東京の家賃相場を基準に考えるとドイツでは割高な物件でも輝いて見えるので長い目で見れば割りと痛い目を見てしますがそれでも「広いのに安い」は確実です。ただし、前述したとおり築年数は日本に比べて総じて古く50年、60年なんてのはざらで100年超なんてのも戦火を免れた郊外では余裕です。

あと、ライフスタイルにもよりますが「一軒家」も「アパルトメント」も家賃的には大差がないので「長く住みたい」と思う人は「郊外の一軒家」なんて選択肢もあります。ざっくり言うと同じ値段でも「自由にアレンジできる庭(地域による)」と「アパルトメントよりもやや広め」という傾向があるので考え方次第ですがお徳感があるかもです。ただし、ドイツの公共交通システムは「いつ殺し合いが起きてもおかしくない東京エリア」と比べるといかにも牧歌的です。都市部から離れるほど車が必要になるのは間違いがありません。

一軒家の物件で盲点なのが「台所」など水周りです。ドイツ人はシンク(流し)やバスタブの類を”消耗品”と捉えているので賃貸物件によっては「自分で付けろ」になっている場合もあるので要注意です。アパルトメントは一軒家と比べるとやや割高な感じがしますが、流しや冷蔵庫といった基本的な設備を提供しているケースが多いのでイニシャルコストを抑える、という意味では有利になることもあります。ドイツのホームセンターは「プロの店か!」と思うほどありとあらゆるものが揃っているのでちょっと大工になったような錯覚になりますwww

労働を贖罪と捉えている欧米人は「出来るだけ早く引退したい」と考える傾向が強いようです。そのせいか、どうかは分かりませんが、都市部から離れるほど「ステータス」と考える向きがアッパークラスになるほど強いように感じます。「シティーライフこそ至高!」と捉える東京臨海信者とは対照的な感覚を持っているので何でもバランスが大切になります。少なくとも「都会に選り好んで行く」は「仕事が選べないから探しに行く」みたいなネガティブな響きと紙一重なのでご注意下さい。




さてさて…Ep#09がまだ途中なのでアレですが……

Ep#10は予定ではアスカの幼少期の謎に迫るプロットになるのでベルリンでの生活の描写が増えると思います。少し予備知識としてこの辺のことが役に立つか??は別にして参考になればいいなあ…と思っています。




(文責:東郷太一)
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