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新世紀エヴァンゲリオンの二次創作物、小説「Ihr Identität」を掲載するサイトです。初めての方は「このサイトについて」をご参照下さい。小説をご覧になりたい方はカテゴリーからEpisode#を選んで下さい。この物語はフィクションであり登場する人名、地名、団体名等は特に断りが無い限り全て架空のものです。尚、本ホームページに使用した「新世紀エヴァンゲリオン」の画像は(株)ガイナックスのガイドラインに沿って掲載しています。配布や転載は禁止されています。
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ドイツに移り住んでかなりの年月が過ぎましたが、いまだに近所の小学生の女の子(8歳)に口で勝てずにボロ負けするほどドイツ語が苦手な管理人です。お蔭で大人としての威厳がゼロ。この頃では管理人を遊び相手と認識したらしく、顔を合わせるたびにママゴトにつき合わされそうになって困っています。

さてそんな管理人ですが、ドイツ国内は映画代が安いこともあって週末などはちょくちょくと行っています。去年、ドイツ映画の「Schutzengel(守護天使)」がまあまあヒットしたのですが、ここは敢えてあまりの下らなさで見た後からジワジワきたこの映画をご紹介したいと思います。





さて、この映画のジャンルはコメディーで、主役のエージェントRanjidと演じているのはトルコ系ドイツ人の Kaya Yanar です(日本語Wikiがないので参考として英語版のリンクをつけています)。ドイツでは(人気者かどうかはともかく)名の知れたコメディアンです。

最初に断っておくとドイツのコメディー(というか映画全般)は、ブリティッシュジョークと比べるとエスプリ(皮肉)に欠けて気が抜けていて、フレンチと比べると理屈っぽくて時々退屈に感じることがあり、さらにハリウッドと比べると総じて野暮ったい、というわりと散々な評価を受けています。

ハリウッド至上主義に慣れきった(ある意味で目が肥えている)日本で公開すると、まず爆死確実な地雷映画が多いのですが、バッサリ切ってしまうにはもったいない作品も少なくないので、ネタ切れが顕著なハリウッドに食傷気味の人には実に発掘し甲斐があるのがドイツ映画だと個人的に思います。

前置きが長くなってしまいましたが、この映画、いきなり「ボリウッド」から始まります。大勢が踊っている中から主役が登場、そして悪役を華麗に倒す寸劇が挿入されているのですが、悪役に何故かRPGを持った忍者が出現します。もうすでにこの時点でヒンディー映画と日本を軽く挨拶程度にディスります。

この映画のキーワード、それは「ディスる」です。

その最大の標的は常々ドイツ人と仲が悪いオランダです。まあ、「これは酷い・・・」というくらいにディスる、ディスる。実はこの部分が一番面白い要素なのですが、ドイツとオランダの歴史的経緯を知らないとちょっと「置いてきぼり」感がハンパない。これが日本では受けない理由になります。

アンジー・メルケルから依頼を受けたアナトリア・シークレット・サービス(通称、ASS)は、オランダ人の犯罪組織が推し進める「全世界オランダ化計画」の阻止に乗り出すわけですが、この適役のオランダ人のボスが酷い。オランダの伝統工芸品である”木の靴”(しかも粗末な)を愛用し、オランダ独特の花のフレーバーの効いたチーズが好物で、しかもその手下達はWカップのオランダチームのサポーターのような服装(オレンジ一色)を着ていたり、と怒涛の如くオランダをディスりまくります。当然、敵のアジトはチューリップ畑に囲まれた風車です。

そして忘れてはいけないのが「自転車」です。

自転車と言えばわれわれ日本人の間では「中国」になるわけですが、EUではだいたい「オランダ」というイメージになります。「ツール・ド・フランス」とかあるじゃん、って思うでしょ?ところがオランダは政策として国民に交通手段として自転車での移動を奨励しているんです(詳細はメンドイのでwikiを参照してください)。健康にいいとか環境にいいとかいうのが理由ですが、それに対してアウトバーンを整備して世界に冠たる自動車メーカーを複数抱えている「超車大国」のドイツはオランダの政策の真逆を取っており、「オランダ人がセーブした酸素の大半はドイツ人が使ってやがる」というイヤミが両国間でネタ化しています。

それに加えて第二次世界大戦終結後、西部戦線に赴いていたドイツ人兵士達は慌てて本国に向って壊走したのですが、その時にオランダで数千台にも及ぶ自転車が兵士達による盗難に遭いました。オランダは連合国側として枢軸側の日本とインドネシアで戦っていたことからも分かるように完全敵国です。敵国兵士が易々と通過した上に自転車までパクるとは、とこの話は「オランダってヘタレだよね」と後々までの語り草になってしまいました。
プライドを傷つけられたオランダ人は終戦後、ドイツに「盗んだ自転車を返せ!」というイヤミを上から下まで言う様になり、終戦から半世紀以上も経っているにも関わらずこの調子なのでイラッとさせられるのだそうです。
なにやら朝鮮、中国の「謝罪と賠償をry」に似ていますね。

と、こんな歴史的、政策的な経緯があってドイツとオランダの間では「ディスり合う」ことが半ばネタ化しています。そういう事情を知った上でこの映画を見ると後からジワジワとくるのです。

たかが映画ですが、その中にも色々な民族感情や歴史的背景があったりして、今までに気が付かなかったものが見えてくることもあります。それも映画、文化の楽しさじゃないでしょうか。

ご興味のある方は是非一度ご視聴をお奨めします。


管理人 東郷太一

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