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レクイエムは鎮魂歌と日本ではよく訳されていますがこれには少々誤解があります。

Requiemはラテン語で「安息を」という意味を持っており、楽曲としてのレクイエムは本来、典礼(教会の行事)として死者のためのミサ、あるいは追悼式で使用される葬送曲のことで楽曲の総称のようなものです。

レクイエムという言葉自体には鎮魂という意味は実はありません。

死者のためのミサを始める場合、ほぼ間違いなく入祭唱(Introitus)から入りますがその時の典礼文が「Requiem aeternam dona eis…」から始まるので始めの語である「Requiem」から「死者のためのミサで使用される葬送曲」をそう呼ぶ様になったみたいですね。
レクイエムに限った事ではないのですが教会音楽は基本的に聖書の記述や教会の典礼のルールに基づいて作詞作曲されるため、その形式(典礼の式次第に沿う形がとられる)や歌詞(典礼文から引用する)は作曲者の別なくほとんど同じになります。

例えば有名な「アヴェ・マリア」ですがシューベルト、メンデルスゾーン、モーツァルト、ヴェルディー、グノー、ロッシーニ、カッシーニなど名だたる作曲家が曲付けしていますが面白い事に歌詞は全く同じです。


レクイエムに話を戻しますが…
レクイエムを冠しながら全く聖書にも典礼の形式にも基づかない楽曲もあります。その人たちはレクイエムを無宗教的に取り扱っている場合がほとんどです(日本人作曲家の作品はその好例と思います)。
 

レクイエムは基本的に次の様式に従います。しかし、作曲家の先生によっては一部を割愛して100%網羅しているものはむしろ稀です。三大レクイエムと称されるモーツァルト、ヴェルディ、フォーレでもあったりなかったりしています。
 
入祭唱    Introitus

キリエ    Kyrie

昇階唱    Graduale

続唱       Sequentia 
続唱は怒りの日」や「涙の日など6曲で構成される。

奉献唱    Offertrium
「主イエス・キリスト」「賛美の生贄と祈り」の2曲で構成される。

サンクトゥス       Sanctus
「聖なるかな」「祝福されますように」の2曲で構成される。

神羊誦    Agnus Dei

聖体拝領唱           Communio

赦祷文    Resposorium

楽園へ    in Paradisum
 


ざっと見てみると死後の魂を鎮めるというよりはキリスト教の特徴ですが「罪を購い赦しを乞う」という雰囲気が何となく見え隠れします(赦祷文とか)。実際、西洋(キリスト教圏)では「荒らぶる魂を鎮める」という発想はなくて何かにつけて「罪に対する赦しを祈る」というスタンスです。前者は日本的な発想でしょうかね(平安時代の祈祷みたいなもの)?

しかし、「安らぎ」を「鎮める」と変じて見事に日本語の「レクイエム」にしてしまった辺りのセンスには感嘆させられます。個人的にはやはり「レクイエム=鎮魂歌」の方がしっくりきます。



このレクイエムで用いられる典礼文は機会があればまた別途ご紹介したいと思います(後編ストーリで大変重要になって来るので)。





余談ですが…

「甘き死よ来たれ(Komm, susser Tod)」を調べてみると「エヴァ旧劇のもの」と「J.S.Bach」の2つが出てきます。この2つは似ているのかと思えば全然違います。
 
別にどっちがどうということはないのですが、庵野監督がそこまで狙ったのかどうか分かりませんけど、少なくともBachの方はJ. S. Bachが三位一体の祭日に関係する礼拝のために作曲した(と推定されている)教会カンタータです。このカンタータは全6曲構成になっています。件の「甘き死よ来たれ」はちょっとこじ付けが過ぎるかもしれませんが第1曲のアリア「Komm, du süße Todesstund(来たれ、汝の甘き死の時よ)」からヒントを取っているかもしれませんね。

因みにBachはルーテル教会(宗教改革で有名なマルティン・ルターの開いた新教教会)の支持者で、この曲は新教系の生死観をよく反映した傑作と言われています。旧教系の典礼で用いられる事はありませんがヨーロッパでは楽曲として今も人気があります。

 

来たれ、汝甘き死の時よ』(
Komm, du süße TodesstundeBWV161

第1
アリア「来たれ、汝甘き死の時よ」(Komm, du süße Todesstunde

第2
レチタティーヴォ「世よ、汝の喜びはわが重荷なり」(Welt, deine Lust ist Last

第3
アリア「わが望み、其は」(Mein Verlangen, ist

第4
レチタティーヴォ「すでにすべて終わりぬ」(Der Schluß ist schon gemacht

第5
コラール「わが神の望みとあらば」(Wenn es meines Gottes Wiille

第6
コラール「たとい肉体がこの世にて」(Der Leib zwar in der Erden
 

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