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「危機管理」と「被害管理」について

講釈じみていますので興味のある方だけどうぞ…

企業などでもよく耳にする言葉ですが「危機管理(crisis management)」というものがあります。

これは平たく言うと「天気予報」の様なもので地震や火事などの自然災害、広義には業務上の過失から人為的なミスに至るまでの起こり得るリスクは「何」で、それが起こった場合の「初動」はどうあるべきか、ということの指針を示す、ことを含みます。
 


日本ではこれに加えて「リスクが発生した場合の損害(被害)はどの程度」で、これを「最小限に食い止める方策を予め検討」しておく、というものをこの「危機管理」に加える場合があるようです。ひと口に「危機管理」と言っても人や組織によってその「内容」が異なる様では色々なところで齟齬(そご)が出かねません。これは日本に限った話ではないのですけどね…一番いいのは「Simple is BEST」でしょう。言葉の定義を面倒臭いですが細分化するとその分だけ「意味は明確」になります。



欧米のやり方が正しいとは必ずしも思わないのですが、この「損害の見積もり」は「危機管理」とは明確に区別して「被害管理(
consequence management)」と呼んで別のPhaseとして取り扱っています。何でもかんでも同じ袋の中に放り込むと実際の現場では「行動」よりも「マニュアル」をまず読まなければ何も出来ない、と言うような笑うに笑えない話が起こりかねません。
 
物事は起こすよりも起こってしまった事を収拾する方が遥かに難しい、とよく言われます。これは日本の行政システムに限った話ではありませんが重要なのはリスクが発生した場合の「具体的な対処」の方です。どちらかというと「危機管理」よりも「被害管理」の方が重要なように思います。
 


ミサトが文中で使っている「被害管理」は分かり易い例かもしれません。「使徒が攻めて来るかもしれない」「内部工作員が本部の電源設備をまた破壊するかもしれない」と考えるのは危機管理ですが、それを踏まえて「その対策は?」と考えても仕方が無いとは言いませんけど、実戦Phaseでは殆ど何の役にも立ちません。それはリスク(使徒襲来)が発生する以前に準備(検討)すべきものであって、未来を確度高く見通す事が出来ない以上、どうしても限界があります。そこに力を注ぐよりは「過去の事例」をDB(データベース)化して頻度ヒストグラムから拡張シミュレーションしていく方が現場レベルでは有効ではないでしょうか。
 
使徒戦に限らず作戦行動においては守るも攻めるも無傷ではいられません。今の条件で作戦を実行した場合に保有戦力と使徒の想定される戦闘能力を勘案してもっとも「少ない犠牲」で「最大の結果」を得ることを考えなければなりません。自動化が進む現代の戦争ですが、Evaの様なパイロット技能に対する依存度が高い兵器の場合はまさに第二次世界大戦における「零戦」に近いイメージになります。旧日本軍はパイロットの錬度を過小評価していたのかもしれませんが、人員は補充が効くという観点で局地戦を展開し続けた挙げ句に大局にまでクラックが入ってしまいました。米軍の物量的優位も勿論ですが米軍はパイロットの保護を最優先していたというのは歴史的事実です。パイロットの育成に時間がかかるということを認識してその「被害管理」を実践していた証左とも言えるでしょう。歴史に「もし」は禁物ですが「被害管理」という概念があれば大きな犠牲を出さずに終戦を迎えられたかもしれません。失われた人命と技能は二度と還ってきません。
 

ミサトはファーストアプローチ(この作戦における主体的作戦実行者)を悩んだ末にアスカに任せましたが、子供じみたケンカが元ですっかり意図とは反する展開を見せ始めています。職業人(プロ)の感覚では全く考えられない、極めて異常な事態でしょう。訓練を受けてきたはずのアスカを狂わせてしまった理由…そしてローレライは何を暗示するのでしょうか…
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