新世紀エヴァンゲリオンの二次創作物、小説「Ihr Identität」を掲載するサイトです。初めての方は「このサイトについて」をご参照下さい。小説をご覧になりたい方はカテゴリーからEpisode#を選んで下さい。この物語はフィクションであり登場する人名、地名、団体名等は特に断りが無い限り全て架空のものです。尚、本ホームページに使用した「新世紀エヴァンゲリオン」の画像は(株)ガイナックスのガイドラインに沿って掲載しています。配布や転載は禁止されています。
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番外編 ドイツ新生活補完計画 (Part-6)
こっそりとカボチャからの脱出を試みたゲンドウだったが
無情にもイェーゲンに捕捉される。
自分の意思とは裏腹に周囲で増幅していくイメージにゲンドウは…
(本文)
イェーゲンがややテレながら紹介する。かなりの美人だった。
「どうも初めまして!ミスター碇!こんなところでゲヒルンのチェアマン(理事長)にお会い出来るなんてとても光栄です!」
二人ともゲンドウの言葉にもっともらしく頷いている。
「やっぱり大物は言う事も違いますね」
イェーゲンが感心したような表情を浮かべていた。
二人の視線がゲンドウに集中している。曖昧な態度を取る事は基本的に好まれないこの国では受け応えにはある程度のスピードが要求される。
いかん…早く何か応えないとバカと思われる…
「な…」
ゲンドウは驚いて思わず自分の隣に並んでいるエリーザを見る。
こ、こいつ…あいつと同じ様な事を…
知り合いだらけではないか…何と言う小さな世界だ…
「と、ところでイェーゲン…お前はどうしてこの子を知っているんだ?サビーネとセバスティアンはお前の幼馴染の家の子だから分かるが…」
「はい、そうです。サビーネとは同じ歳ですがエリーザはプライベートスクールに通っていますから学校は違いますけど…」
「アタシそろそろ行きます。おじ様、今日はありがとうございました」
マルティナと話をしていたエリーザはゲンドウの方に向き直るとペコッとお辞儀をした。
「あ、ああ…」
「こちらこそ…ピーターセン少尉」
「ええ!そんな…マルティナ…もう帰っちゃうのかい?」
「何情けない顔してるのよ。広場の前で偶然会っただけじゃない。今度、何か美味しいものでもご馳走してね。じゃあ!」
マルティナとエリーザはゲンドウたちに軽く会釈すると並んで一緒に広場の向こう側に歩いていく。ゲンドウは遠ざかる小さな背中を見詰めていた。
メリーゴーランドがゆっくりと静止していく。ゲンドウはコートで顔を隠すようにしてかぼちゃから降りるとそそくさと逃げ出そうとしたが現実は厳しかった。
イェーゲンがゲンドウの元に駆け寄って来る。
「ミスター碇!おはようございます!」
「ミスター碇!おはようございます!」
「うっ…」
やはり見つかっていたのか…
ゲンドウが恐る恐る目をやるとイェーゲンと綺麗なブロンドヘアをした長身の女性が並んで立っているのが見えた。
「い、イェーゲンではないか…早いな…お前も…」
「いやー驚きました。まさかこんなところでミスター碇にお目にかかれるとは思いませんでしたよ。あ、紹介します。こちらはドイツ連邦陸軍技術士官のマルティナ・ピーターセン少尉です」
イェーゲンがややテレながら紹介する。かなりの美人だった。
「どうも初めまして!ミスター碇!こんなところでゲヒルンのチェアマン(理事長)にお会い出来るなんてとても光栄です!」
「あ、ああ…どうも宜しく…ピーターセン少尉」
ゲンドウはマルティーナの興奮をよそに最も見られたくない姿を見られたのがイェーゲンだけではないことに目眩を覚えていた。
「それにしても流石はミスター碇ですね。すっかりドイツの生活に馴染んでおられるとは…やはり国際感覚が豊かな方は違いますね」
イェーゲンはマルティナにゲンドウが外国人の要人たちが宿泊するようなホテルではなく、一般庶民のハイカーが利用する様なペンションに滞在していることを手短に説明した。
「まあ!ペンションに?驚きました…随分旅行慣れされておられるのですね!」
マルティナは尊敬の眼差しをゲンドウに向けていた。
「ま、まあな…柔軟性は国連の調査研究機関の人間には当然要求される資質だ…それにその国の文化を学ぶ事は…ま、まあ当然のことだ…」
二人ともゲンドウの言葉にもっともらしく頷いている。
「やっぱり大物は言う事も違いますね」
イェーゲンが感心したような表情を浮かべていた。
「それにしてもメリーゴーランドで何をなさっておられたんですか?」
「うぐ…そ、それは…つまり…その…」
最も恐れていた突込みをマルティナが入れてきた。
最も恐れていた突込みをマルティナが入れてきた。
あ、頭が…くらくらする…この一撃は致命傷だ…頭部損傷…ついでに完全に沈黙…したい…
二人の視線がゲンドウに集中している。曖昧な態度を取る事は基本的に好まれないこの国では受け応えにはある程度のスピードが要求される。
いかん…早く何か応えないとバカと思われる…
ゲンドウが焦っているとメリーゴーランドから銘々降りてきたサビーネ達がゲンドウの元に走り寄ってきた。
「おじさま!ありがとうございました!」
後ろからエリーザの声が聞こえて来る。ゲンドウの顔は引きつり、そして身体は硬直していく。
お、終わった…私のイメージが…ガキ共と一緒にメリーゴーランドに乗っておったことがバレては・・・示しがつかん…
「Juegen!!」
サビーネとセバスティアンがイェーゲンに飛びついて行く。二人とも興奮冷めやらぬ雰囲気でしきりにドイツ語でイェーゲンとマルティナに話しかけている。
「こ、これは一体…何が起こっているんだ…」
ゲンドウの後ろにいたエリーザが答える。
「サビーネはよっぽど嬉しかったんだと思います。いまグルックコップさんにおじ様がメリーゴーランドに私たちを乗せて下さったことを話しています」
「な、何だと!?ば、バカモノ!余計な事をしよって!そんな事は計画に無いぞ!」
セバスティアンとサビーネを抱っこしていたイェーゲンは二人を降ろすとゲンドウの手をいきなり握ってきた。
「う、うお!な、なんだお前!俺にはそんな趣味は…」
「ミスター碇…僕はあなたの様な人格者を今まで知りませんでした…僕は本当にあなたを尊敬します…」
「じ、人格者だと…?な、何を貴様は寝言を言っておるんだ…私は何もしていないぞ…」
俺が一体…何をしたというんだ…昔から…周りにいる人間を傷つけるだけの…下らない人間だ…唯一の理解者さえ俺は…
「いいえ。おじ様はご自分で思っていらっしゃる以上に立派で…ちょっと可愛い人よ」
「な…」
ゲンドウは驚いて思わず自分の隣に並んでいるエリーザを見る。
こ、こいつ…あいつと同じ様な事を…
「エリーザ。君も一緒だったんだね」
イェーゲンとマルティナはエリーザに挨拶する。エリーザも丁寧な挨拶をする。その様子を見たゲンドウは驚いた。
知り合いだらけではないか…何と言う小さな世界だ…
「と、ところでイェーゲン…お前はどうしてこの子を知っているんだ?サビーネとセバスティアンはお前の幼馴染の家の子だから分かるが…」
「ああ、ご紹介が遅れました。この子はレディー エリザベート・惣流・ツェッペリン。ツェッペリン技術主幹の娘さんですよ」
「な、何!?この子が…あの…キョウコ・ツェッペリンの・・・娘なのか…」
「はい、そうです。サビーネとは同じ歳ですがエリーザはプライベートスクールに通っていますから学校は違いますけど…」
「アタシそろそろ行きます。おじ様、今日はありがとうございました」
マルティナと話をしていたエリーザはゲンドウの方に向き直るとペコッとお辞儀をした。
「あ、ああ…」
「エリーザ、途中まで私と一緒に帰りましょ?それではミスター碇。今日は本当にお会いできて嬉しかったです。それではよい休日を」
「こちらこそ…ピーターセン少尉」
「ええ!そんな…マルティナ…もう帰っちゃうのかい?」
「何情けない顔してるのよ。広場の前で偶然会っただけじゃない。今度、何か美味しいものでもご馳走してね。じゃあ!」
マルティナとエリーザはゲンドウたちに軽く会釈すると並んで一緒に広場の向こう側に歩いていく。ゲンドウは遠ざかる小さな背中を見詰めていた。
「可愛い…か…生意気な事を言いおって…」
マルティナが歩きながらエリーザに話しかける。
「キョウコさんから聞いたんだけど、今度、ベルリン音楽院の大ホールでバイオリンの方のコンサートするんでしょ?」
「そうよ。バッハのバイオリン協奏曲BWV1041よ」
「そうなんだ。あ!この本屋さん、あなたのリサイタルのポスターを貼ってるわよ」
「え?どこどこ?あ、ホントだ!」
日曜日で閉まっている本屋のガラス戸に他のポスターに混じって一際目立つ様に貼ってある一枚のポスターがあった。
Asuka Zeppelin
Ein Geigenkonzert
18:00Uhr am 28th Apr 2007
12€
12€
「前から気になっていたんだけど、あなたは音楽活動の時だけ日本のGiven Nameを使うのね?将来は日本でデビューするつもりなの?」
「理由は私もよく分からないわ。だってママがそうしろって言うからそうしてるだけだもの」
「ふーん。そうなんだ…でもアスカって言う名前、私大好きよ」
「ホント?ありがとう」
「私の妹があなたのファンなのよ。キール(ドイツのホルシュタイン州の州都)からわざわざこのために出てくるって言ってるの」
「それならママに相談するといいわ。招待チケットがまだ家にあったと思うから」
「それは助かるわ!ありがとう」
「私の妹があなたのファンなのよ。キール(ドイツのホルシュタイン州の州都)からわざわざこのために出てくるって言ってるの」
「それならママに相談するといいわ。招待チケットがまだ家にあったと思うから」
「それは助かるわ!ありがとう」
やんでいた雪が再び降り始めた。徐々に街並みが白く塗られていく。
【教訓その6】
ヨーロッパでは家族を第一に考えることが常識である。家族よりも仕事を優先する人間は人格を疑われるため「仕事熱心」という言葉はあまり褒め言葉にならない。
番外編 ドイツ新生活補完計画 (Part-6) 完 / つづく
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