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新世紀エヴァンゲリオンの二次創作物、小説「Ihr Identität」を掲載するサイトです。初めての方は「このサイトについて」をご参照下さい。小説をご覧になりたい方はカテゴリーからEpisode#を選んで下さい。この物語はフィクションであり登場する人名、地名、団体名等は特に断りが無い限り全て架空のものです。尚、本ホームページに使用した「新世紀エヴァンゲリオン」の画像は(株)ガイナックスのガイドラインに沿って掲載しています。配布や転載は禁止されています。
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第11部 Jeux interdits 禁じられた遊び (Part-5)  / Snowman(前編)


(あらすじ)

日本政府内務省の特報局に関わるものは内閣官房副長官を追われた川内と加持のみとなった。加持はA計画の全貌を掴むべく一路ベルリンに向かっていた。それは同時に「エリザベート」の出生と「2008年12月24日の悲劇」の謎に迫る旅でもあった。
カヲルの言う「リリンに対する恐怖」とは…2008年末から2009年初に何があったのか…
(本文)


早朝の第二東京市は静かに眠りから覚めつつあった。

ビジネス街の一角に建つ小さなビジネスホテルをチェックアウトした加持が眠たそうな顔をしたフロントの男に話しかける。

「済まないがタクシーを一台呼んでもらえるかな?」

「はい。少々お待ち下さい、山中様」

「どうも…」

加持は狭いロビーにほとんど付け足し程度に据え付けられているクッションの悪いソファに座るとポケットからタバコを取り出した。

「すみません。火、貸してもらってもいいですか?」

ふと加持が見上げると目の前にがっちりした体格の大男が見下ろすように立っていた。

「ああ、構いませんよ。どうぞ」

「どうもありがとうございます…加持さん…」

男はタバコの煙を勢いよく吐き出すとドカッと加持の対面に腰を下ろしてきた。加持は目を細める。

「失礼ですが…どちら様でしたかね…?」

「いや。お初にお目にかかります。ご挨拶が遅れて恐縮です。私はこういうものです」

男はヨレヨレになったワイシャツの胸ポケットから黒皮の名刺入れを取り出してすっかりタバコの灰で汚れたガラステーブルの上に自分の名刺を無造作に置いた。

加持が名刺を持ち上げるとそこには新東京日日新聞政治部記者、阿部悠太郎と書かれていた。

「新東京日日新聞社の…阿部さん…失礼ですが何かの間違いでは?」

「お互い時間が無い筈です、加持さん。この際、誤魔化し無しで行きませんか?このホテルを探し当てるのも随分苦労したんですから」

阿部はニヤッと笑うと目の前にあるガラス製の灰皿の上に灰を落す。

コイツ…食えない男だ…新東京日日新聞といえばネルフコードを無視して第三東京市内に残った挙句、レリエルの中に初号機が埋没した事をスクープしたところだ…ネタの掘り下げには定評があるものの改憲派の急先鋒で護憲派新聞と激しく対立する血の気の多い連中だ…ここで騒がれると厄介だな…

「警戒されるのは分かりますよ。まあ…マスコミの宿命ってやつですからね。でも…これを見ると少し考えも変わってくるんじゃないですかね…」

バサッと阿部は新聞を加持の前に放り投げた。

「これは?」

「今朝の朝刊ですよ。輪転機から一部引っこ抜いてきました。もうじきここにも配られてくるでしょうけどね」

新聞に目を走らせていた加持の目が鋭くなる。

「天城局長
[
Ep#07_(8)で登場]が…自殺…」

「そうです。表の顔は内務省政策情報局長ですが裏の顔は特殊情報局長…通称、特報局…日本政府の影で活動する非公開組織…天城局長は静かなる者の政策を守護してきたキーマンであり、内閣官房副長官だった川内栄三郎の懐刀でもあった…そして加持さん…あなたのボスでもあった人ですよね?お気の毒です…」

阿部は探るような目を加持に向けている。加持はそれを軽く受け流すような素振りを見せていた。

「さすがに局長さんともなると記事にしない訳にはいかないんでね…調査も済んでないのに自殺と断定したお上から押し付けられたものを世間に垂れ流す…もうこの国のジャーナリズムは骨の髄まで腐ってますよ…でも…影で何かが起こってることくらい誰でも何となく分かりますよ…国民ってのは政治家や役人が考えるほどバカじゃないんでね…例えば…」

阿部は新聞を握りつぶすと近くにあったスチール製のゴミ箱に向かって放り投げた。空のゴミ箱の中で乾いた音が響く。

「先週…先々週と不可解な事故が立て続けに起こっていますが…被害者はいずれも内務省の職員、あるいは外殻団体の職員だった…さらに突き詰めていくと…その全員が天城局長と接点が何らかの形である人たちだった…政治空白を利用するかの様な松代騒乱事件とその後の国民党政権樹立…戦自とネルフの交戦…そして特報局長以下の不審な死…何か一本の線で繋がりそうな気がしませんか?」

加持は殆ど吸っていないタバコを灰皿の中でもみ消した。

「なるほど…随分調べておられるようですね…」

「ええ、まあ…仕事なんでね…」

「で?私に用件というのは?」

「さすがは加持さんだ。話が早い。では単刀直入に申し上げましょう。私の用件はこれですよ」

阿部はジーパンのポケットから二つ折りの財布を取り出すと古びた新聞記事を加持に手渡した。

「阿部…寛治…」

「ご想像の通りです。阿部寛治は私の父親でしてね。
2009年の3月にひき逃げに遭いまして…即死でしたよ…私がまだアジアを貧乏旅行でふらふらしていた時にビザの申請で立ち寄ったパキスタンの日本大使館で聞いたんですよ…」

「それはお気の毒でしたね…」

加持は阿部に新聞記事を返す。

「まあ、初めは現実を受け入れるのに時間が必要でしたが親父の死は私がこの世界に入るきっかけになりましたよ。まあそれはどうでもいいことです。ここで私の身の上話をするつもりはありませんしね。親父は出雲重光と那智サナエの関係を追っていたんです…」

出雲重光と那智サナエ…なるほど…表面だけ見れば所詮は下らない三文記事のネタだ…それを政治部の記者が追うというのは確かに自分で言う通り…腐ったジャーナリズムでしかない…

玄関の自動ドアを背にして座っている阿部の肩越しにタクシーが一台到着するのが見えた。加持はゆっくりと立ち上がる。

「失礼…折角ですが私ではあまりその件でお役には立てそうにありませんな、阿部さん…先を急ぎますのでこれで私は失礼します…」

「赤い薔薇に興味はないんですか?加持さん…」

スーツケースに手をかけていた加持は一瞬ハッとした表情を浮かべる。

ポーカーフェースの加持にしては珍しい反応だった。阿部がスキャンダルを追っていると思った加持はいきなり投げつけられた言葉に思わず動揺していた。

しかし、すぐにもとの冷静さを取り戻して阿部の方を見る。

「赤い薔薇…さて…何の事を仰っておられるのか…」

阿部はロビーの一点を見詰めていたがゆっくりと立ち上がると加持の顔を見る。

「那智サナエの特報局内でのコードネームだが…同時にそれは「静かなる者の政策」が決定されるに当たっての密約の事を意味する…そして…出雲重光と那智サナエの娘であるサチコのことを指す言葉でもある…サチコはまたの名をマリという…加持さん…いい加減駆け引きは終わりにしませんか…俺はマジなんですよ…」

コイツ…何を何処まで掴んでいる…赤い薔薇は特報局内でも最大の懸案事項だった…天城さんまで手にかかった今となってはもはや川内さんと俺だけだ…今の俺はお尋ね者の単なる私立探偵みたいな状態だ…その俺がコイツを警戒するというのも何か滑稽な様な気もする…どうする…

阿部の真剣な眼差しを見た加持は肩を竦めた。

賭けてみるか…

「参りましたね…フライトの時間があるんでね…空港までご一緒して頂けるというなら少しはお時間が取れると思いますが…どうされますか?」

「勿論ご一緒させて頂きますよ。ついでに目的地までご一緒させてもらうってのはどうですかね?」

阿部は懐からパスポートを取り出して加持に見せる。

「コイツさえあれば俺はどこでも生きていけますから」

加持は呆気に取られて阿部の顔を見た。

「すみませーん。山中様いらっしゃいますか?」

タクシー運転手がホテルのロビーに入って来た。

「さて…行きましょうか?山中さん」

そういうと阿部は自分の手提げカバンと加持のスーツケースを掴むと玄関に向かって行った。

「やれやれ…えらい事になっちまったな…」
 







2009
111日 ベルリン 雪

まるで風に舞うパウダーの様な細雪だった。

ベルリンは内戦の傷跡を各所に残していたが依然として人口
150万人(
実在のベルリン市の人口は約350万人)を擁するヨーロッパ屈指の都市だった。

市内の幹線道路はラッセル車による除雪と融雪設備で快適だったが一度郊外に足を伸ばすとたちまちのうちに事故やスリップなどで立ち往生している車を見かけるようになる。かつては広大なジャガイモ畑だった場所も足を踏み入れれば凍土のようにざらついた音を立てた。

そして荒涼とした大地にまるで氷雪で出来た彫刻の様に打ち捨てられたレオパルド
2型戦車の残骸がそこかしこに残っていた。

静かに降り積もる雪が戦士達をそっと眠らせ、吹き抜ける北風が鎮魂の歌を奏でていた。

ここにあるものは静寂だけだった。

音の無い真っ白い世界に一台の黒いメルセデスが細かい雪を巻き上げながら走駆しているのが見えた。後部座席に銀髪の男が座っている。ゲヒルン研究所の理事の一人であるゲオルグ・ハイツィンガーだった。

ゲオルグはアタッシュケースの中の書類に目を通していたが車の速度が落ちたのに気が付いて目を上げる。

「どうした?」

ゲオルグがくもった窓を手で拭うと市道の脇にベルリン市警のパトカーと救急車が止まっているのが見える。道行くドライバー達が横を通る時に速度を落して様子を伺うため自然渋滞になっていた。

「申し訳ありません、部長。恐らく自殺者が発見されたのだと思いますが…野次馬で少し道が混んでいます」

「またアイスドールか…今どき珍しくもあるまいに…バカな連中だ…」

ゲオルグは忌々しそうに顔を顰めると再び手元の書類に視線を戻した。

ドイツに限らずセカンドインパクトの影響で緯度が上昇したヨーロッパでは若者の凍死が後を絶たなかった。その殆どが大量のアルコールを摂取して泥酔状態で酷寒の夜に路上で眠って自殺をするというものだった。

こうして自殺する若者はその多くが遺言で火葬に付される事を拒み遺体の引き取り手が見つからない場合も少なくなかった。引き取り手の見つからない遺体は市当局によって凍りついた街外れの原野に立ち木の様に安置されて遺族を探す方法が採られていたがその遺体に好意を寄せる歪な愛情を見せる者が現れるため社会問題に発展しつつあった。

こうした凍死者は「魂のない入れ物」という意味合いでアイスドールと呼ばれていた。

渋滞はやがて霧の様に無くなっていた。




北に位置するパンコー区の外れに
3メートルはあろうかという高いねずみ色の壁に囲まれた地上4階建てのコンクリート作りの建物が敷地に真ん中に建っていた。

まるで中世の城門を思わせる様な巨大な鉄の扉は付近に住む住民でも滅多に開いているところをみた事はない。異様な雰囲気が周囲を包み込んでいる。

「特別医療施設ズィーベンステルネ」という鉄製のレリーフが付着した氷の合間を縫うようにして鈍い光を放っていた。

メルセデスはまるで足を偲ばせるかの様に静かに現れると音もなく鉄の城門の前に止まる。車の到着にあわせて扉が開き車は敷地の中に静かに入っていく。

革張りの後部座席から銀髪の長身の男が姿を現した。医師を思わせる白衣を着た数人の男女と警棒を握り締めた巨躯の男達がそれを恭しく迎えていた。

「おはようございます。ハイツィンガー理事

「おはよう。リヒター博士。全て順調かね?」

「はい、問題ありません

「それは重畳…」

一団は分厚い観音開きの扉をくぐって装飾も調度品もない殺風景なロビーに入る。

ゲヒルンの理事の一人であるゲオルグ・ハイツィンガーは鉄格子が張り巡らされたガラス窓から差し込む僅かな日の光を見て目を細める。

「今日はやけに冷えるな」

ゲオルグは皮の手袋を外しながら冷血人間の様な青白い顔をしたリヒターに話しかける。

「外は-
9℃ですね。日が差している分、昨日よりはまだ暖かいと思います」

リヒターの声は精密機械の様に抑揚が無かった。

「そうか…
Bezirk Mitte(ベルリン中央区)から比べるとここは2、3℃寒いらしいな。ところでその後の様子はどうだね?」

そう言いながらゲオルグはここまで同乗してきたボディーガード兼運転手に目配らせを送った。2メートルはあろうかという長身に金髪の若い男が静かに頷くとゲオルグとリヒターを取り囲む様に立っていた職員達を遠ざけ始めた。

リヒターが二人だけになるのを待って話し始めた。

「こちらに運ばれたのが
1227日の早朝ですから今日で2週間が経過したことになりますが、BRTによる記憶封止と記憶操作はレベル3の投与でほぼ問題なく目的を達成しました」

僅かにゲオルグが眉をひそませる。

「レベル
3?大人じゃあるまいし…相手はまだ8歳の子供だぞ?少し薬が効きすぎるのではないかね?」

「いえ…相手が相手ですからな…反応率速を考慮すればこのくらいしておかないと…」

辺りはすっかり静まり返り二人の男の影を弱々しい日光で床に照らし出されている。ゲオルグとリヒターはゆっくり奥に向かって歩き始めた。

「なるほど…だが…あまり手を加え過ぎて手中の珠を砕く様なことはするな。これは命令だ。あの子が
Elisabeth(エリザベート)であるということはくれぐれも忘れるなよ…」

「勿論です。ドリューのことはどうかご懸念なき様に願います」

「ドリュー?何だそれは?」

ゲオルグが怪訝そうな表情を浮かべる。

「あ、これは失礼しました。あの子はチャイルド候補のちょうど三番目(
dritt「独語の序数3」)になりますが看守が北フリースラント出身で酷いフリジア訛りでしてな…幾ら直しても“drei(独語の3)“dree“というものですからほとほと困っておりまして…それで間をとってドリュー(Drewと呼ぶ事にしたのです。まあ女の子でもありますしな…」

「ドリュー…か…なにやらアングロサクソン出身の様で気に食わんな…まあコードネームにいちいち構っている暇は私には無い。勝手にしろ」

リヒターは無言で小さく頷く。

やがて二人は厳重な鉄格子の前に立つ。リヒターが
IDカードを読み取り機に当てると鈍い音を立てて開いていく。窓が全く無い異様な空間が広がっていた。

明りと呼べるものはコンクリートの天井からぶら下がっている冷たい蛍光灯の明りだけだった。

「そういえば理事…記憶封止と記憶操作は全てご指示通りに行いましたが少し気になることが…」

「なんだ、博士。私の指示に何か気に食わないことでもあるのか?」

ジロッと威嚇するようにゲオルグがリヒターを睨み付けた。

「いえ…気に食わないなどと滅相もない…ただ…記憶操作は通常、記憶封止の後で新たな人格などを形成する目的で用いるものですが…その…ドリューの場合はどうしてオリジナルの記憶を操作した上でわざわざ封止なさるのか…ちょっと理解に苦しむものですから…このままだと何らかの理由で封止した記憶層が解放されてしまいますと…記憶操作した情報を事実と認識する事になってしまいますが…」

「それでいい。全く問題ない」

「しかし、穏やかではありませんな…あのままだとドリューはチェアマンを…」

「博士…今日は少しおしゃべりが過ぎるようだな…」
 
リヒターは恭しく頭を下げると今度は如何にもという様な追従の顔を作る。
 
「申し訳ございません…まあ私としても十分な便宜を図っているつもりですので…ドリュー受け入れの替わりにお約束頂いた例の予算の件ですが…」
 
ゲオルグは汚いものでも見る様にリヒターの顔を見た。
 
「分かっている博士…委員会には既に適当な理由を言って了承を取り付けてある…心配するな…」
 
「ありがとうございます」
 
「但し、だ…」
 
ゲオルグは鋭い視線をリヒターに向けた。今にも凍ってしまいそうな冷たい目にリヒターは思わず戦慄を走らせていた。
 
「いいか…博士…くれぐれもあの子の扱いについては厳重に注意しろよ…こうなってしまった以上はチャイルドとして蘇生するしかなかったが…時節到来の折は…この私がエリザベートを引き取るつもりだ…もし…あの子の存在が明るみに出るようなことがあれば…その時は…貴様がどういう目に遭うか、分かっているだろうな…?」
 
「そ、それは…勿論ですとも…分かっております…その点はご安心下さい…」
 
「分かっているならそれでいい…貴様は言われた事だけをすればいいのだ…予算のことは心配するな…」
 
ゲオルグとリヒターはゆっくりと奥に向かって歩き始めた。

やがて二人は病院の手術室を思わせるような部屋に入る。部屋には若い医師が一人作業していたがリヒターが目配せすると無言で部屋から出て行った。

部屋には長い亜麻色の髪をした一人の少女がシーツをかけられた状態で横たわっていた。

ゲオルグは思わず目を細める。

「エリザベート…ついにお前だけになってしまったか…」

リヒターが少女に歩み寄ると白衣の胸ポケットからペンライトを取り出すと少女の右の瞼をそっと捲って光を当てる。

「よく眠っているようですな…」

「やはり薬が効きすぎているのではないか?処置を誤ると昏睡状態から覚めない危険な投薬なのは知っているだろ?」

「いえ…脈拍等も正常です…恐らく今夜半か、遅くとも明け方には目を覚ますでしょう」

「巡り合わせとはいえ…こういう方法でしか蘇生出来ないとはな…」

「理事…申し上げ難いのですが…一応…このズィーベンステルネは
Seele直属のチャイルド培養機関ですので…ドリューを殺す様な事は勿論しませんが特別扱いも出来ませんので…その点はご了承下さい…」

「分かっている…ほとぼりが冷めるまでの辛抱だ…」

ゲオルグは恐る恐る少女に手を伸ばすとそっと頭を撫で始めた。

「しかし、ハイツィンガー理事…先ほど引き取ると仰っていましたが一度死んだ事になってしまったドリューを一体どうなさるおつもりですか?まさか養女にでも?」

ゲオルグはいきなりリヒターの胸倉を掴むと壁に身体を押し付けた。そして間髪を入れずすぐ近くに並べられてあったメスを掴んでリヒターの喉元に突きつけた。

口元に薄笑いを浮かべてリヒターの顔を覗き込む。

「養女とは限らんだろ?いっそのこと妻に迎えるかな?ふん…それ以上余計な事を聞くと命が幾らあっても足らんぞ…貴様…」

「し、失礼致しました…」

リヒターは顔面蒼白になっていた。
 


Ep#08_(11) 完 / つづく

(改定履歴)
06th July, 2009 / 誤字、表現修正
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