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新世紀エヴァンゲリオンの二次創作物、小説「Ihr Identität」を掲載するサイトです。初めての方は「このサイトについて」をご参照下さい。小説をご覧になりたい方はカテゴリーからEpisode#を選んで下さい。この物語はフィクションであり登場する人名、地名、団体名等は特に断りが無い限り全て架空のものです。尚、本ホームページに使用した「新世紀エヴァンゲリオン」の画像は(株)ガイナックスのガイドラインに沿って掲載しています。配布や転載は禁止されています。
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ドイツのとある都市の郊外…よく晴れたその日は月末の日曜日だった。鉄道駅の前で年の頃は高校生か大学生か、ハイティーンの少女がボーイフレンドと別れを惜しんでいる。

若い二人はいつまでも抱き合っていたがお別れのキスの後で、気の強いドイツの少女はついに青い瞳から大粒の涙を流し始めた。

青年は何度も振り返りながらも大きな旅行鞄を持ってプラットホームに停車していた列車に乗り込んでいった。

定刻通りに列車がゆっくりと動き始める。いつまでも見送る少女の姿があった。
基本的に先進国のほとんどに成人男性の兵役義務が存在しています。イギリス、フランス、ドイツなどです。兵役は21世紀の現在でも厳然と国民の義務として残っているのです(兵役義務自体がない日本は実は世界的にも非常に珍しい存在である事はあまり知られていません)。

但し、兵役義務自体は残っていてもそれを「一時休止」している国も少なくありません。この事情を捉えて「兵役」はなくなったと誤解する向きがある様ですがそれは大きな間違いです。休止しているだけで制度自身が廃止されているわけではないのです。

さて、ドイツでは兵役は休止されてはおらず原則的に兵役義務を果たさなければなりませんが「良心的兵役拒否」が認められています。兵役を拒否するか、就役するかはその個人が選択するのです。

近年では兵役を拒否する人の割合が増加傾向にあります。兵役義務を拒否した若者はその替わりに一定期間の社会奉仕活動の従事が課せられます。そのためドイツでは兵役拒否者なくして介護現場は成り立たないとすら言われるようになってきています。

しかし、民族意識の強いヨーロッパでは一定数の兵役参加者が存在するのも事実です。ドイツの成人年齢は18歳ですので大学進学前に兵役に従事するのが半ばパターン化しています。そのためハイティーンのカップルが暫しの別れを惜しむ姿をあちらこちらで見ることになります。

一般に自己主張が強く気が強そうに見えるドイツの少女達ですが、ボーイフレンドが兵役を選ぶと自由に会うことが出来なくなる寂しさからなのか、彼女達は時に涙を流すのです。就役のために旅立つ時期になると駅や公園のベンチで一人で目を真っ赤にした少女達をしばしば見かけます。

戦地に赴くわけではなく必ず帰って来るのですが…


惜別もまた少女達を少しずつ大人にしていくのでしょう。


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