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新世紀エヴァンゲリオンの二次創作物、小説「Ihr Identität」を掲載するサイトです。初めての方は「このサイトについて」をご参照下さい。小説をご覧になりたい方はカテゴリーからEpisode#を選んで下さい。この物語はフィクションであり登場する人名、地名、団体名等は特に断りが無い限り全て架空のものです。尚、本ホームページに使用した「新世紀エヴァンゲリオン」の画像は(株)ガイナックスのガイドラインに沿って掲載しています。配布や転載は禁止されています。
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小説を書いていると「どないしょー(トウジ風)」と頭を抱えることによく出くわします。その中の一つに「外国人の名前」が挙げられます。時代小説ではないフィクション小説なのであまり肩肘を張るのもどうかという感じですが、だからと言って天地がひっくり返るほどの大嘘をぶっこくのも如何なものか…ということで私は素人ながらも出来る限り「考証」に努めているつもりです(ささやかですけど…)。

今日は今までに調べたことを「備忘録」的に少しご紹介したいと思います。

1) 名前の基本形

「Given name + Family name」

これは日本と事情は全く同じです。以前にお話しましたがこれに加えて応用編として「祖父母(先祖)」の名字を引き継ぐという風習が残っています。これは偉大なご先祖がいれば尚更でしょうね。自分のルーツを維持するという民族意識の現われかもしれませんね。ですから本当の名前を教えろというと…一体、いつまで言い続けるつもりだという人もいます。普段の生活では名前が長いと落語(じゅげむじゅげむ…)みたいになりますので「Given name + Family name」が基本です。



2) 国籍をまたぐ場合(日系の場合)

惣流・キョウコ・ツェッペリンや真希波・マリ・イラストリアスなどがそれに当たるでしょうか(マリはよく分かりませんけどイギリス系??)。これも珍しい事ではありません。

「旧姓 + 自分の名前 + 嫁いだ先の姓」 … 日系はこのパターンが多い
「自分の名前 + 旧姓 + 嫁いだ先の姓」 … もちろんこのパターンもあります

が基本ですが「旧姓」である、という点が味噌です。これも役所に保管されている戸籍や住民登録票くらいにしかここまで書いてないし、普段は「キョウコ・ツェッペリン」と本人も名乗るのが普通でしょう。父親と母親の国籍が異なる場合は前述の通り成人する18歳の時にどちらの国籍を選択するかを決めなければなりません。この国籍に合わせて自分の姓名も「和風」か「洋風」か、に決める必要があるでしょう。それを見越しているのか、いないのか分かりませんけどGiven Nameも二つ持っていたりします。勿論、名前なのでどちらか一方を切り捨てるという必要はありません。例えばピアニストの「アリス=サラ・オット」が分かりやすい例かもしれません。



3) クリスチャンネーム

これは宗派によって呼び名が変わりますがカトリックでは洗礼を受けた後に貰う名前がそうです。

「Given name +  洗礼名 + Family name」

この洗礼名は適当に名前を神父様がつける訳ではなくて原則的に聖書に出てくる言葉、あるいは聖者の名前からとられます。因みにプロテスタントではつけない場合が多い様です。そして自分の誕生日と与えられた名前の聖者の誕生日はセットで祝うというのが慣わしです。何故ポーランドがそうなのかは知りませんがかの地では自分よりも聖者の方を祝うのに力を入れるらしいです。洗礼名はカレンダーで既に聖者の名前が割り振られているので「今日は誰だっけ…」と悩まないで済むシステムになっています。
余談ですけど…逆に誕生日さえ言えば「割り当てられる名前」があるのでカトリック教徒でなくても相当する名前があるということです。これを「ニックネーム」として使う日本人も稀にいます。


4) 「von(フォン)」「van(ヴァン)」」「de(ド)」など

これは文化Gapの最たるもので「レオナルド・ダ・ヴィンチ」が代表例でしょう。つまり「ヴィンチ村のレオナルド君」という意味。von(独)やde(仏)は英語のof (~の)に相当する言葉です。「○○○伯」は「○○○(地名とか)」を領地とする伯爵(乃至は門跡名)なので「von ○○○」となります。これは名前なのかという疑問が生じますが現代では名前というか「尊称」の様なものとして取り扱います。ただし注意が必要なのは人によっては正式な「名字」にしている人もいらっしゃるのでその場合はきちんと対応しなければいけません。

因みにベートーヴェンの「van」ですが、これはオランダ語で「~の子供」という意味です。従って「van」は「von」とは全く性質の異なるもので明らかに「名字の一部」として取り扱わねばなりません。ということはベートーヴェンじゃなくてヴァン・ベートーヴェンと言わないと本当は正しくないのですが一般的ではないので作者は省略しています。

※ 「メルセデス・ベンツ」と「メルツェデス・ベンツ」のどっちが正しいかとか、「カメラ」か「キャメラ」かというのに似ていますね(笑)タイプがだるくなってしまいます…

これに似たパターンとして「-セン(sen)」というのがあります。ピーターの息子は「ピーターセン」、ハンスの息子は「ハンセン」という具合です。この「セン」はデンマーク語の「息子(son)」に当たります。これらは「given name + sen」がそのまま名字になっちゃったというパターン。
じゃあ!プロレスラーのスタン・ハンセンは??そう、彼はデンマーク系の出身なんです。



5) まだまだ調べる事が多すぎ…

ここでご紹介したのはドイツを中心にして集まった雑多な情報です。これがイタリアとかロシアとかスペインとか…どんどん加えていくとどうなるのか…もう手に負えません。やっぱり小説の類というのは出身地やゆかりのある場所をベースにするケースが多いのも分かる気がします。トーマス・マン、マーク・トウェイン、ビクトル・ユーゴーなど時代を遡ればその傾向はますます強くなります。現代作家の強みは多分、ITを駆使して見た事もないものを如何に見て来た様に見せるか、という手腕なんでしょうね。そう考えると創作活動のやり方も替わってくるような気がしてきましたよ…
この作品に出てくる登場人物の名前はあながち「適当」に付けていない、という事がお分かり頂けたでしょうか(笑)?作品を通して異邦人アスカ(!?)を身近に感じて頂けるとさらにハッピーですが。
 

東郷太一

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